衆院選
2024-10-28 11:02:00
与党が過半数割れをする結果となった今回の衆院選。少しは国民の声が反映されたのではと嬉しく思うと同時に、裏金議員が何人も当選しているのを見るとまだまだ世論は甘いのだなあと思わざるを得ません。選挙当日、私は仕事だったのですがお昼休みに選挙の話をすると、その場にいた約20人のうち期日前投票をしたのが私を含めて2人と知って白目になりました。20代の青年にいたっては「何の選挙ですか?」とまで。選挙権を得てからすべての選挙で投票をしている(たぶん)私は、毎回選挙率の低さに驚いていたのですが、ああ、これが現実かと。みんな給料明細を見て、引かれる税金の多さに腹が立たないのかしら。その税金がどのように使われるか気にならないのかしら。昨年税務調査が入った私としては(第236回『マルサの男』参照)、裏金議員は絶対に許さない所存です。投票はその意思表明の大切な手段。独り身の私ですら、これほど鼻息荒くなってしまうのですから、子どもがいる家庭にとってはなおさら大切な選挙です。私の一番近しい「子どもがいる家庭」は、もちろん姉のところ。先日、その姉家族の新居に遊びに行ってまいりました。
この春、戸建てを購入した姉夫婦。姉から家を買うと聞いた時、私は「このタイミングだと父親の遺産が入ったと思われるよ」と冗談めかして言いました。すると姉は「え?そんなこと考えもしなかった」と。事務所の仕事を手伝ったり何かと父の近くにいた私と違って、あまり関わりをもたなかった姉。それなのに、近年父がホテル暮らしに嫌気がさしたから東京でマンションを探して私と一緒に暮らしたいととんでもないことを言い出した時には「えー、うちに来てもいいよって伝えておいて」とさらり。姉いわく「すでに男が4人いるから、じーさんが1人増えても変わらない」とのこと。いや、変わるだろ。大らかにもほどがある姉です。そんなミス大らかの新居は、とても明るくてとてもいい香り。「この前、パリでディプティックのルームスプレー買ったの」と階段にシュッ。そこをジャイアンツのTシャツを着たKちゃん(第251回『神宮球場』参照)が「ママ、水筒どこ?」とどすどす降りてきます。いやー、男の子を3人育てるって本当に大変。取り込んだ洗濯物を一緒に畳んだのですが、私が「これ何日分?」と訊くと「1日分に決まってるでしょ」と。長男アメフト部、次男野球部、三男サッカー部。そら、そうなりますわな。洗濯物を畳んだあとはお風呂掃除です。一番風呂しか入りたくない長男、ちゃんと身体を洗ってから湯舟に入れと言ってもお湯がどろどろになる次男、水切りワイパーでクレープ屋さんごっこに興じて長風呂になる三男。同じ環境で育っていても、性格は三者三様です。続いて夕飯の支度に取りかかります。特大パック数個分の豚肉の山は生姜焼きに。毎月の食費は優に10万円を超えるといいます。お米は毎年100kgを農家から直接買っていますが、それでも足りないそうです。寮母さんのように大量の食材を調理していく姉を眺めながら、白ワインを飲む妹。ああ、カウンターキッチンは家族のぬくもり。「新NISAってどうなの」「相続税むかつく」「ほうれい線はもうどうにもならない」「鈴木亮平と共演して」私は家でお酒を飲まないのですが、誰かと一緒に暮らしてこんな風に日々の出来事をお喋りできたら、楽しくてきっと毎日飲んじゃうな。そうこうしているうちにサッカーの練習を終えた三男Sちゃん、塾での勉強を終えたKちゃんが帰宅。長男は部活帰りに友だちとカラオケに行くとのことで不在。ちっ。むかつくので部屋をガサ入れした時に発見した長濱ねるちゃんのエッセイ本を、今度私の本とすりかえようと思います。食卓には姉の手料理とともに、私が買ってきたお刺身とトマトが並びます。ここ最近の野菜高騰でなかなか手が出なかったとのことで、トマトが大好きなSちゃんは大喜び。「まーたん、ありがとう」と言いながらぱくぱく。トマトでこれほど喜んでもらえるのなら毎回買ってきますよ、叔母さんは!この日は泊まらせていただき、翌朝それぞれを学校へと送り出したのですが「いってきます」と手を振る彼らを見て、この子たちもあっという間に大人になるのだろうなと何ともせつない気持ちになりました。これからの長い人生、辛いこともあるでしょう。悲しいこともあるでしょう。それでも少しでも生きやすい世の中にするために、私たち大人が今をつくっていかなくてはいけないのです。その昔、ハマコーさんは言いました。「かわいい子どもたちの時代のために自民党があるということを忘れるな!」そんな想いで仕事をしてくれる政治家があらわれてくれることを切に願います。写真はSちゃんの部屋の扉に貼ってあったものです。でも家族全員が勝手に部屋に出入りしています。だってこれ、部屋の内側に貼ってあるんだもの。
2024.10.28 配信
日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。
オフィシャルサイト→FLaMme official website