エグゼクティブハウス禅│西山繭子の「女子力って何ですか?」

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西山繭子の「女子力って何ですか?」

#156

エグゼクティブハウス禅

2020-10-12 11:05:00

 10月になり東京都または東京都民の旅行もGO TOトラベルの対象となりました。しかし正直なところ、このコロナ禍ではまだまだ旅をする気分になれません。でもせっかくのキャンペーンだし、夏休みもなかったし、少しでも楽しい時間を過ごしたいなあと思った私、そうだ!こんな時こそチャンスだわ!ということで、大好きなニューオータニに泊まることにしました。都内のホテルで過ごす休日。まさに女子力の極み!
 私のオータニ愛は、このコラムでも何度か語ってまいりました。(第130回『全力で夏!』第138回『至福の年末年始』参照)これまで一番お世話になっているのは、ガーデンラウンジのランチビュッフェです。私と姉はとにかくここが大好き。一時期は姉が臨月になったら必ずビュッフェという流れが出来ていました。「2人分だから」と言い訳をしながら、どんどんと平らげていく姉。ここで一度居合わせたことがある安美錦よりも食べていたんじゃないかなあ。おかげで姉が産んだ男児は3人とも4000g超えのビッグベイビーであります。私がオータニに最後に来たのは、コロナ禍の波がじわじわと日本列島に広がり始めたまだ寒い日のことでした。それからしばらく時間をあけて久々のオータニさん。メジャーリーグの実況中継風に言うとオータニサーン!しかも今回は、な、な、なんと!『エグゼクティブハウス禅』に宿泊したのであります!この『エグゼクティブハウス禅』は、権威あるフォーブストラベルガイドで5つ星ホテルの格付けを2年連続で受賞したという最上級の空間。本来であれば、そんな場所で彼氏と素敵な一夜を過ごしたいところではありますが、あいにくたまたま偶然図らずも思いがけず彼氏がいないので、母と行くことにしました。東京で暮らしている私たちが一緒に都内のホテルに泊まるというのは、もちろん初めてのこと。そんな非日常にきゃっきゃとはしゃぎながら、おばさんとおばあちゃんは赤坂見附駅からオータニへと向かいます。何度も来ているのでロビーまでの道のりは慣れたもの。しかし14時という時間もありチェックインカウンターには数組の宿泊客の列が。「あら、並ばなきゃいけないわね」という母にチッチッチッと人差し指をふる私。「エグゼクティブハウス禅のチェックインは11階の専用ラウンジなのでございまーす」エレベーター前にいたスタッフの方に案内していただき無事にチェックインを済ませた私たちは、はやる気持ちをおさえつつ、まずは荷物を置きにお部屋に向かいました。今回、宿泊するのはエグゼクティブデラックスルーム。入った瞬間に親子で「ひゃー!素敵―!」と声を揃えました。これまで母にはイタリア、フランス、アメリカへの旅行をプレゼントしてきましたが、いかんせん予算の都合上、立派なホテルには泊まれませんでした。フィレンツェでは壁の薄い部屋で四六時中隣の夫婦喧嘩にげんなりし、パリではバスルームが部屋より広いという奇妙な作りに首を傾げ、ワシントンではとうとうAirbnbでジョンさんの家に泊まるという悲しきヒストリー。私にもっと甲斐性があればと情けない気持ちでいっぱいでしたが、今回でそれも帳消し。帳消しどころか倍返しだ!(使い方、たぶん間違ってる)そんな素敵な部屋でゆっくりするのも良いのですが、ここでのスペシャルを堪能するために私たちは再びラウンジへと向かいました。それは、この『エグゼクティブハウス禅』至極のホスピタリティ、1日6回のフードプレゼンテーションであります。この詳細に関してはニューオータニのHPをご覧ください。もうね、ここでは語りつくせません。私たちはもちろん6回全て満喫いたしまして、私にいたっては毎回シャンパンをいただきました。ええ、もちろん朝も。「また飲むの?」と驚く母の横で「これはね、もうシャンパンチャレンジですよ」とわけのわからないことを言いながら娘は幸せの泡を味わっておりました。シャンパンもさることながら、夜にいただいたサンテミリオンの赤ワインも最高だったなあ。母は何かカクテルが飲んでみたいということで、その旨をスタッフの方に話すと好みなどを聞いてくれて「ホワイトレディ」というカクテルを作ってくださいました。大きな窓から一望できる東京の夜景を前に、母が「こういうのってすごく嬉しいね」と言いました。実は私と母、5月に大喧嘩をして以来久しぶりの再会でありました。それでも何事もなかったかのように元通りになれるのは家族だからということもありますが、何よりもこのホテルニューオータニの素晴らしきホスピタリティがひりついていた私の心を温めてくれたのだと思います。シャンパンを飲みながら、またいつか母を連れて来られるように仕事を頑張ろうと胸に誓ったGO TOトラベルでありました。

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西山繭子さんのINFORMATION

Writer

西山繭子

日本の女優、作家。東京都出身。
大学在学中の1997年、UHA味覚糖「おさつどきっ」のCMでデビュー。
テレビドラマを始め、女優として活動。
最近は小説やテレビドラマの脚本執筆など、活動の幅を広げている。
著書に『色鉛筆専門店』『しょーとほーぷ』『ワクちん』『バンクーバーの朝日』などがある。

オフィシャルサイト→FLaMme official website